◎2025年09月08日 ---- ボス ◎
- 「うまい」よりも・・
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私の好きな俳優、三浦友和さんがラジオで語っていた。◆進行役の徳光さんが「三浦さんにとって、最も尊敬するというか、あるいは最も影響を受けた先輩俳優はどなたですか?」と尋ねたのに三浦さんは「三船敏郎さんです」と即答した。徳光さんが「三船さんのどのようなところに影響を受けたのですか?」と聞くと友和さんは「徳光さん。徳光さんは三船さんの映画を随分ご覧になったでしょうが、三船さんの演技を『上手い』って思いますか?」と聞き返した。徳光さんは「失礼な言い方になるかもしれませんが」と前置きし「そんな『うまい』とは思いませんね」と答えた。◆「みんな『三船さんの演技はそれほどうまくない』などと言います。でも、その映画に三船さんが登場した瞬間にドキッとし、観終わったあとにも三船さんの印象ばかりが強く残るんですよね。言うなれば三船さんは『うまい!』という印象はなく『すごい!』俳優なのですよ。」「この『上手い』よりも『すごい』っていうことが大切なのですが、私はなかなか『すごい』俳優にはなれません」と謙遜した◆さらに続けて三浦さんはこう言った。「ピカソだって、モネだって、ゴッホだって、見る人は『上手い!』とは思いませんよね。『上手い』と思うのではなく『すごい!』になっちゃうのですよね」。この説明を聴きながら私は「確かにっ!」とつぶやいていた。芸術にとっては「うまい」のはるか上に「すごい」があるのだな。納得した。◆三浦友和という俳優がまた一段と好きになった。
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◎2025年09月05日 ---- ボス ◎
- 優しさに欠けるヤツばかり
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自由が丘に住む長女が孫を連れて遊びに来てくれた。孫は私にとっての初孫で、それはそれは可愛い。最近の若者言葉で表すなら「可愛すぎる」。やっと1歳になったがまだ歩くことはできない。もちろん言葉もしゃべれない。それでも体重は10㎏程度になっている。◆夕方近くになって娘と孫が帰るのを送って行くことにした。広尾の駅まで送ろうと歩き出したが名残惜しくて「買い物がてら自由が丘まで行くよ」ということになった。◆孫はベビーカーに載ることを嫌がった。ママに抱っこされていないと泣く。電車の中で大声で泣かれると他の乗客に迷惑をかけるだろうと、娘は孫を抱っこしたまま電車に乗った。私はベビーカーを折りたたみ、娘に続いて電車に乗った。意外と電車はすいていた◆すいていると言っても席はすべて埋まっている。立っているのは私たちだけ。そこで私が驚き腹が立ったのは誰も娘に席を譲ろうとしないこと。◆私は68歳の爺だが、それでももし電車の中で赤ちゃんを抱いたご婦人を見かければ席を譲る。ところがその電車に乗った連中の誰一人も娘に席を譲ろうとはしない◆おそらく彼らの多くは咎められれば「気づかなかった。気付いていれば譲ったのだけれど・・」などと言うのだろう。バカか!◆電車で座っているならば、それも満員電車でないのなら、周りの状況を眺めるべきだ。困っている人がいれば助けてあげよう。◆人のことに無関心、人に親切にしようとは思わない、冷たいバカなやつばかりの時代になった。
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◎2025年08月30日 ---- 未分類 ◎
- アイスブレイク
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ウクライナのゼレンスキー大統領と米国のバンス副大統領の会談で「アイスブレイク」という言葉を知った。バンスさんのアイスブレイクはあまり品の良いものではなかったようだ。◆「アイスブレイク」とは商談や会議の前にちょっとした雑談をすることをいう。本題に入る前のその雑談がムードを和やかにしコミュニケーションが円滑になる効果がある。「アイスブレイク」という言葉は知らなかったが、その雑談の持つ意味は私も若い頃から知っていた。重要会議や商談の前には必ずアイスブレイクを取るようにしている。◆わが社の本社には来客用の応接会議室が2室ある。会社エントランスを入ると美しい彫刻や絵画が並んでいる。「まるで美術館のようですね」とお褒めの言葉をいただいたことも多い。応接会議室も美しいデザインのイスやテーブルがお客様をお迎えする。さらにスターウォーズ人形も飾ってある。サイドテーブルには創設時からの社歴を描いた漫画「塞翁が空(全4巻)」も並べている。◆彫刻・絵画・テーブル・スターウォーズ人形・マンガ・・・どれもアイスブレイクに上手に利用できる。アイスブレイクのためにそれらを並べている、と言ってもいいだろう。ところが・・・◆どれだけの社員がお客様をこの部屋にお迎えした時にこれらのツールをアイスブレイクに利用しているのだろうか、と思ったときに「おそらく殆どの者がそれらを利用していないな」と気付いた。もったいない。
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◎2025年08月26日 ---- ボス ◎
- 8時半の男
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私が子供の頃、プロ野球巨人軍に「8時半の男」と呼ばれるリリーフエースがいた。夕方6時に始まった試合は巨人がリードで終盤に入る。そうすうると逃げ切りを図る川上監督が「宮田」をマウンドに送る。宮田が投げると巨人は無事にその試合を勝ち切ることができた。宮田がマウンドに上がるのは毎晩8時半ころだから「8時半の男」と呼ばれていた。◆コロナ禍の最中から銀座近辺で私も「8時半の男」と呼ばれるようになった。◆コロナ禍によって私の飲み方は大きく変った。コロナ以前はお客様を誘って7時ころから会食しそのまま深夜までダラダラと飲むことが多かった。いわゆるハシゴをしない夜はほとんどなかった。ところがコロナによって私の飲み方も大きく変った。夕方5時にそっと店に入り静かに飲んで7時過ぎには帰るようになった。コロナが落ち着いてきてからもハシゴすることはなくなった。◆年齢からくる「老い」や長年経営者をやってきた「疲れ」もあるのだろう。私はハシゴをすることが苦痛になってきた。ほぼ毎日、銀座へ出るがどこで飲んでいても8時半になると帰るようになった。◆「ごちそうさま。お勘定お願いします」と言うと「おっ、8時半の男、木下さんがお帰りですね」とマスターにニコリとからかわれることが多くなった。
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